蕗の薹が雪の隙間から顔をのぞかせる早春、北海道にも春の気配が漂い始めます。その苦みと清々しい香りは、長い冬を越えた後に出会う生命の息吹そのもの。真鯛の淡い桜色と合わせることで、茶碗蒸しはより春めいた彩りを纏います。一番出汁の旨みを卵液に丁寧に染み込ませ、蒸し器でゆっくりと加熱する。この料理に急ぎは禁物です。
出汁を引く
昆布(利尻昆布推奨)10グラムを水500mlに30分浸漬する。弱火にかけてゆっくりと温度を上げ、60℃前後になったら昆布を引き上げる。火を少し上げて80℃になったら、かつお節15グラムを加え30秒後に濾す。出汁を冷ます。
蕗の薹を下処理する
蕗の薹は外葉を2〜3枚剥がし、半分に切って塩を少量ふり、さっと茹でる。茹で時間は約20秒。水に取ってアクを抜き、水気を絞る。細かく刻んでおく。
真鯛を塩霜にする
真鯛(刺身用)を薄切りにし、軽く塩をふる。5分後に熱湯をさっとかけ(霜降り)、すぐに氷水に取る。水気を切っておく。この処理で鯛の臭みが除かれ、より上品な味わいになります。
卵液を作る
卵2個をボウルに割り入れ、箸で白身を切るように静かに混ぜる(泡立てない)。冷ました出汁350mlを少しずつ加えながら混ぜ、薄口醤油小さじ1・塩少量・みりん小さじ1/2で味を整える。目の細かいザルで濾す。
器に盛り付けて蒸す
茶碗蒸しの器(または耐熱カップ)の底に、蕗の薹・真鯛を入れる。卵液を静かに流し入れ、7〜8分目まで満たす。蒸し器のふたに布巾を挟み(水滴防止)、強火で2分→弱火で12〜15分蒸す。
仕上げのコツ
茶碗蒸しの盛り付けは極めてシンプルでなければなりません。蒸し上がった器の表面に、細く刻んだ三つ葉を2〜3本と、薄く削いだゆず皮(または柚子胡椒の一粒)を静かにのせるだけ。春の茶碗蒸しには、蕗の薹の緑と真鯛の桜色がすでに十分な彩りを与えています。
器の選択も重要です。春は青磁や薄緑の器が料理との調和を生みます。器と料理が共鳴して初めて、日本料理の「盛り付け」は完成します。器は料理の衣装である──茶道の精神から生まれた懐石料理の教えは、茶碗蒸しにも息づいています。
材料(2人前)
レシピ情報
必要な道具